メール誤送信でクビになる?損害賠償を求められるケースや企業ができる対策を解説

「問題になりそうなメールを誤送信してしまった。」
「バレたらクビになってしまわないだろうか?」

社内・社外に関わらず、仕事でメールのやりとりをすることは少なくありません。

そのため、ついうっかり重要なメールを誤送信してしまうケースは誰にでも起こり得えます。

重要なのは、個人としても企業としても、どのように対応すればよいか、あらかじめルールを決めておくことです。

なんの指導もなければ、誤送信が隠蔽されて、被害が大きくなる可能性もあります。

そこでこのページでは、メールを誤送信して「クビにならないか?」と社員が不安にならないよう、法律面や対策について紹介します。

企業としても準備できるよう、社員への指導を考える面でもぜひ参考にしてみてください。

メール誤送信でクビ(解雇)になるケースはある?

まずは、「メールの誤送信はクビになるのか?」について法的な観点から解説します。

  • 【この章で紹介する内容】
  • ・多くの場合は解雇にならない
  • ・懲戒解雇になるケースとは
  • ・懲戒解雇以外の処分の種類

多くの場合は解雇にならない

日本では、労働契約法第16条により「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」とされています。
出典:e-GOV法令検索「労働契約法

つまり、会社側が解雇を行うには相応の理由が必要で、単純なミス1回では解雇権の濫用と判断されるのが原則です。

メール誤送信は業務上のヒューマンエラーであり、初めてのミスや軽度の過失であれば、まずは口頭での注意指導や書面による警告、始末書の提出といった段階的な対応が取られます。

そのため「誤送信してしまった」と気がついたら、隠さずにすぐに上司に報告することが重要です。

懲戒解雇になるケースとは

ただし、以下のような悪質性や重大性が認められる場合は、懲戒解雇が有効と判断されることもあります。

故意・悪意がある場合

競合他社や第三者への意図的な情報漏洩など、ミスではなく故意による誤送信は、懲戒解雇の対象になりえます。

繰り返し行われた重大なミスの場合

一度や二度の過失であれば軽い処分にとどまりますが、再三の注意指導を受けても改善されず、重大なミスを繰り返す場合は、懲戒解雇に踏み切られるケースもあります。

会社に重大な損害を与えた場合

大量の個人情報や機密情報が社外に流出し、会社に取り返しのつかないほどの損害(取引停止・訴訟・社会的信用の失墜など)が生じた場合は、処分が重くなることがあります。

懲戒解雇以外の処分の種類

実際には、メール誤送信に対して取られる懲戒処分は次のような段階になります。

処分の種類内容
戒告・譴責口頭または書面による注意。始末書の提出を求められることが多い
減給給与の一部を減額。労働基準法により上限あり(1回につき平均賃金の半額、総額は月給の10分の1以内)
出勤停止一定期間の出勤停止。その間の賃金は支払われない
降格役職や等級の引き下げ
諭旨解雇自主退職を促す形での解雇。退職金が支払われることもある
懲戒解雇最も重い処分。退職金が支払われないことが多い

いずれの処分も、就業規則に規定されている内容に基づいて行われます。

まずは自社の就業規則を確認しておくことが重要です。

メール誤送信で損害賠償を求められることはある?

「誤送信で損害賠償を請求されるかもしれない」と不安に感じる方も多いでしょう。

この章では、従業員が損害賠償を請求される条件や、深刻な情報漏洩になった場合のリスクについて紹介します。

従業員が損害賠償を請求される条件

通常の不注意(軽過失)によるメール誤送信で、従業員個人が損害賠償を請求されるケースはほとんどありません

民法715条の「使用者責任」により、従業員が業務中に引き起こした損害については、原則として会社(使用者)が責任を負います。
出典:e-GOV法令検索「民法第七百十五条

従業員個人が会社や第三者から損害賠償を請求されるのは、故意または重大な過失がある場合に限られるのが一般的です。

ただし、会社が第三者への損害賠償を行った後、従業員に対して求償(費用の一部を請求)するケースはあります。

情報漏洩が深刻な場合の法的リスク

ただし、誤送信の内容や状況によっては、刑事責任が問われる可能性もゼロではありません。

  • 不正競争防止法違反:営業秘密を故意に競合他社へ漏洩した場合
  • 個人情報保護法違反:個人情報を不正に提供・漏洩した場合
  • 刑法上の背任罪・横領罪:会社の利益を損なう目的で意図的に行った場合

いずれも「故意性」が前提となるため、うっかりミスの誤送信で刑事責任を問われることはほぼありません。

ただし、会社への損害が大きくなれば懲戒処分に加えて民事責任(損害賠償)を問われるリスクはあります。

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メール誤送信が発覚したら今すぐ取るべき対応

誤送信に気づいたら、処分の軽重を左右する「初動対応」が最も重要です。

焦る気持ちを抑えて、以下のステップを順番に実行しましょう。

STEP1|上司にすぐ報告する

誤送信に気づいたら、30分以内を目安に上司へ報告することが鉄則です。

絶対にやってはいけないのが「バレないかもしれない」と隠蔽することです。

誤送信は後から発覚するケースが多く、隠していた事実が明るみに出た場合、誤送信そのものより「報告しなかった」ことが重く処分される可能性があります。

報告の際は以下の内容を整理して伝えましょう。

  • いつ誤送信したか
  • 誰に(どのメールアドレスに)送ったか
  • 何を(どんな内容・添付ファイルか)送ったか
  • ・個人情報・機密情報が含まれているか

落ち込んでいる気持ちはわかりますが、上司への報告は素早く・正確に行うことが、結果的に自分を守ることにつながります。

STEP2|影響範囲を確認する

上司への報告と並行して、誤送信の影響範囲を確認します。

  • ・誤送信先は社内社外か(社外への誤送信はリスクが高い)
  • ・相手は取引先など面識のある人か、まったく知らない人
  • 個人情報(氏名・住所・電話番号など)が含まれていたか
  • 機密情報(社外秘の資料・契約書・価格情報など)が含まれていたか
  • 添付ファイルはあったか、パスワード保護されていたか

これらを把握することで、次の謝罪・対応の優先度と方法が決まります。

STEP3|誤送信先に謝罪・メール削除を依頼する

影響範囲が確認できたら、上司の指示のもと誤送信先への謝罪と対応を行います。

緊急性が高い場合(個人情報・機密情報が含まれる場合)は電話で先に謝罪し、その後お詫びメールで正式な謝罪と削除依頼を送ります。

知らない人(無関係の第三者)に送ってしまった場合も、迷惑メールとして無視されている可能性がありますが、念のため削除依頼のメールを送ることが望ましいです。

「誤って送信してしまったメールです。大変恐れ入りますが、内容をご確認いただかずに削除していただけますと幸いです」という形で依頼しましょう。

STEP4|再発防止策を上司に提示する

謝罪対応が一段落したら、再発防止策を具体的にまとめて上司に提示しましょう。

始末書を書く際にも、「なぜミスが起きたか(原因)」と「今後どう防ぐか(対策)」を明確に記載することが求められます。

「気をつけます」だけでは説得力がありません。

「宛先は最後に入力し、確認する」「添付ファイルは別途開いて中身を確認してから添付する」など、具体的な行動レベルの対策を示すことが重要です。

メールを誤送信したときのお詫びメールの例文

メールを誤送信したとき「お詫びメールをどう書けばいいのか?」迷ってしまい、対応が遅れるケースもあります。

おすすめなのは、社外用・社内用でテンプレートを用意しておくことです。

メールの誤送信は組織の問題ととらえ、部署ごとにテンプレートを作成しておきましょう。

以下で例文を紹介します。

社内向けお詫びメール例文

件名は「【お詫び】先ほどのメールの誤送信について」のように、誤送信であることを一目でわかる形にします。

件名:【お詫び】先ほどのメールの誤送信について

○○部 △△様

お疲れ様です。○○(送信者名)です。

先ほど○時頃にお送りしたメール(件名:●●)につきまして、 誤って送信してしまいました。

誠に申し訳ございません。

そのメールは○○様宛てではなく、別の方へ送信する予定のものでした。 お手数をおかけして大変恐縮ですが、内容をご確認いただかずに 削除していただけますでしょうか。

今後はこのようなミスが起きないよう、十分に注意してまいります。 ご迷惑をおかけして、大変失礼いたしました。

社外・取引先向けお詫びメール例文

社外向けは社内より丁寧な表現が必要です。特に個人情報や機密情報が含まれていた場合は、その旨を明記し、情報の取り扱いについて具体的に依頼します。

件名:【お詫び】先ほどの誤送信メールについて(株式会社○○ △△)

株式会社●● □□様

平素より大変お世話になっております。 株式会社○○の△△でございます。

先ほどお送りしたメール(件名:●●)につきまして、 誤って貴社宛てに送信してしまいました。

大変失礼いたしました。誠に申し訳ございません。

なお、当該メールには弊社の社外秘情報が含まれておりました。 誠に恐れ入りますが、メールの内容をご確認いただかずに 削除していただけますよう、何卒お願い申し上げます。

万一、内容をご覧になった場合は、情報の第三者への提供や 二次利用をお控えいただけますと幸いでございます。

今後は送信前の確認を徹底し、再発防止に努めてまいります。 ご迷惑をおかけしましたこと、重ねてお詫び申し上げます。

謝罪メールを送る際の注意点

「急いでいたので」「システムの問題で」といった言い訳は、相手の印象を悪化させるだけです。

事実・謝罪・対応依頼を簡潔に伝えることに徹しましょう。

また、誤送信に気づいた後、正しい内容を送り直す場合は「先ほどのメールを取り消してお詫び申し上げます。

改めて正しい内容をお送りします」という一文を冒頭に入れると丁寧です。

件名にも「【再送・訂正】」を入れて、どのメールの訂正かがわかるようにしましょう。

またメールを送付したあとは、謝罪の電話を入れることで信頼の回復につながります。

ミスを繰り返さないための誤送信防止策

誤送信への対応が済んだら、再発防止に向けた行動を取ることが大切です。

「また同じミスをするかもしれない」という不安を解消するための対策を紹介します。

送信前チェックの習慣化

まず個人でできる最も基本的な対策が、送信ボタンを押す直前の確認習慣です。

確認すべきポイントは以下の3点です。

  • ・宛先(To/CC/BCC):最後に確認する。オートコンプリートで似た名前が入っていないか確認
  • ・件名・本文:送り先にふさわしい内容か、機密情報が含まれていないか
  • ・添付ファイル:必ずファイルを開いて中身を確認してから添付する

宛先の確認は、メールを作成してから「最後にチェックする」という順番にしましょう。

最初に宛先を入れると、本文を作成している間に忘れてしまいがちです。

メールソフトの設定を活用する

Outlookには「送信を遅らせる」設定があり、送信ボタンを押した後に数分間メールを保留できます。

この間に誤りに気づけばキャンセルが可能です。

Gmailでも「送信取り消し」機能(5秒〜30秒のキャンセル猶予時間)を設定できます。

設定画面から「全般」→「送信取り消し」でキャンセル可能時間を最長の30秒に設定しておきましょう。

いずれも無料で使えるため、まずはこれらの設定を今すぐ確認しておくことをおすすめします。

メール誤送信で企業が取り組むべき対策

メールの誤送信は、社員だけの問題ではなく、メールを日常的に使う以上、誰にでも起こりうるヒューマンエラーです。

「気をつけなさい」という指導だけでは根本的な解決にはならず、組織として仕組みで防ぐ体制を整えることが企業に求められています。

誤送信が起きやすい職場環境の共通点

誤送信が頻発する職場には、いくつかの共通した背景があります。

メールの誤送信が起こりやすい職場

メール送信のルールが整備されていない

送信前の確認フローや承認ルールが定められておらず、各自の判断に委ねられている職場では、確認漏れが起きやすくなります。

特に外部への情報送信に関するガイドラインがない場合、社員はどこまで注意すべきかの基準が曖昧になります。

情報セキュリティ教育が不十分

誤送信のリスクや発生時の対応について、定期的な教育・訓練が行われていない職場では、社員のリスク意識が低くなりがちです。

「誤送信したらどうすればよいか」を知らない社員が多いほど、発覚後の対応も遅れます。

業務量・時間的プレッシャーが高い

締め切りに追われている状況や、大量のメールを短時間で処理しなければならない環境では、確認作業がおろそかになり、ヒューマンエラーが発生しやすくなります。

企業が取り組むべき3つの対策

誤送信を組織として防ぐには、以下の3つの柱が重要です。

① 社内ルール・マニュアルの整備

社外へのメール送信前に上長の確認を必要とするフローの導入、個人情報・機密情報を含むメールの取り扱いルールの明文化、誤送信が発生した際の報告・対応フローの整備などが有効です。

ルールがあることで、社員は迷わず行動でき、発生後の対応も迅速になります。

② 定期的なセキュリティ教育・訓練

誤送信のリスクや事例を社員全員に共有し、発生時の初動対応を定期的に訓練することで、組織全体のリスク意識を高めることができます。特に新入社員や中途採用者への教育は重要です。

③ システムによる技術的対策の導入

ルールや教育だけでは、ヒューマンエラーをゼロにできません。

システムで物理的に防ぐ仕組みも導入しましょう。

企業のメール対策については、以下のページも参考にしてみてください。

メールで起こる情報漏洩の対策|企業が見直したい誤送信防止のポイント

UTMのメール誤送信防止機能を導入する

UTMの中には、メール誤送信防止機能を搭載したものがあります。

たとえばサクサの「SS7000」は、送信後に一定時間メールを保留し、誤りに気づいた場合はキャンセルできる機能を持っています。

個人のメールソフト設定とは異なり、社内のメール送受信を一元管理するため、全社員が同じ仕組みで保護されます。

宛先ミスによる個人情報漏洩や機密情報の流出は、会社全体の信用と損害賠償リスクに直結します。

現状UTMが導入されていない場合は、検討してみるのもおすすめです。

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よくある質問

最後にメールの誤送信についてよくある質問を紹介します。

メールを誤送信してしまったのですが、どうしたらよいですか?

まず上司に報告し、誤送信先への謝罪・削除依頼を速やかに行いましょう。

隠蔽は処分を重くするだけなので、気づいた時点ですぐに行動することが最優先です。

誤送信のリスクは?

個人情報・機密情報の漏洩による会社の信用失墜や、損害賠償リスクが挙げられます。

情報の内容や影響範囲によっては、取引先との関係悪化や法的責任に発展するケースもあります。

メールの誤送信を防ぐツールは?

UTM(統合脅威管理装置)のメール保留・キャンセル機能が有効です。

まとめ

メール誤送信でクビ(懲戒解雇)になるケースは、故意や重大な過失がある例外的な状況に限られます。

重要なのは、誤送信に気づいた直後の「初動対応」です。

隠さずすぐに上司に報告し、影響範囲を確認した上で誠実に謝罪・削除依頼を行いましょう。

そして再発防止の観点では、個人の習慣化だけでなく、組織としてルールやシステムを整備することが重要です。

メール誤送信は「個人の問題」ではなく「組織の問題」でもあります。

社員一人ひとりの努力と、会社全体での仕組みづくりの両輪で、リスクを最小化していきましょう。

メールは誤送信だけでなく、フィッシング詐欺などの被害に巻き込まれる可能性もあります。

UTMやウイルス対策ソフトの見直しを検討する際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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